今年の夏の工作。暑過ぎて何もしたくなかったので地下の書斎に籠って作業に勤しんだ。孫の遊び用にと買ってあった1/24のプラモを作ってみたのだがチャチ過ぎるので自分のコレクションにすることにした。涼しくなって地上に出てようやく日の目を見た。
ヒーターバイパス装置を付ける
エアコンは安定して機能するし暇も出来たので暑くても出かけるようになった。冷風は爽やかに出て来るので快適なのだが時折どこからかドカッと熱の塊がやって来るようになった。窓際かバルクヘッド辺りの感じである。窓は閉まっているのに外気の熱が室内に入り込むような感じだ。助手席に乗る妻は特に暑さは感じないそうだ。手であちこち探ってみても特に熱い所は無いがハンドル下や窓ガラスを熱の塊が移動している感じでジワーッと暑いのだ。
CRRは常時ヒーターコアに熱くなったクーラントが循環している構造である。このレンジを入手した時はヒーターコアが割れていたので、誰かがエンジン後端部で水道管でバイパスさせていたのは前にどこかで話した気がする。あの時、車内への温水切り替え装置があれば夏にエアコン無しでも涼しいかもと考えて格安汎用小型水路切替器は買ってあった。ただ300Tdiエンジンを載せたら、エンジンとバルクヘッドの間が狭過ぎてスペースを探せずにいたし車検取得以後夏にはあまり運転する機会がなかったので後回しにしていたのだった。
CRRのヒーターユニットはコンパクトで気に入っているのだが何しろ設計が古い。エアコンなど無いヒーターオンリーの時代の賜物なのだ。ソフトダッシュと呼ばれる後期型のCRRのユニットをバラしたことがあるが全体を覆っている樹脂が厚くて熱は外部には漏れにくい構造だった。KA(93年型)までのハードダッシュのユニットの側壁は熱伝導率が高い鉄板だし樹脂は後期型に比べて限りなく薄い。暖房のことしか考えていない時代の設計なのである。
LEDライトや暗くなると自動的に点灯するオートライト、USBやBluetooth対応のオーディオetcのCRRに欠けている数少ない弱点を自身の創意工夫で改良して快適に走れるようにする。それも最初から付いていたように限りなく純正風でさらに経費をかけずに手間をかける。この楽しみこそが私がCRRをいじり続ける理由でもある。
今夏は早くから遅くまでとりわけて暑く、エアコンも調子がいいのであちこち運転していたら上記のとおりヒーターバイパスの必要性を感じたので意を決して作業にかかってみた。果たして効果の程は?
秋の気配

PWM かレジスターか?SDGs
CRRの風量調整用の抵抗器(レジスター)は高価なのによく壊れるらしい。Tdiレンジもガソリンエンジンだった頃から、2段階しか調整できなかったので格安PWM(Pulse Width Modulation)にしてシームレスで風量調整をして快調に走っていた。エアコンも今年(’23)になって冷媒を入れたのでPWMを追加して風量調整しながら快適に遠出を楽しめるようになった。
ところが夏になって東京に向かうべくエアコンを入れて久しぶりにETCを通る時、ゲートが上がらず急停止したら危うく後続車に追突されそうになった。係員が飛んできて言うには通信不能とのこと。首都高のETCでもゲートが上がらず一般ゲートで通った。振り返ってみると冬にスキーに行く時のETC通過時、通信エラーが出て無理矢理ゲートを通った事があった。あの時は帰りのバーはスムーズに開いたので、朝は大型トラックのすぐ後ろについていたので電波が遮断されたのだと考えていた。そのあと春まで数回ETCゲートを通ったが問題はなかった。
電子工作の解説書にはPWM装置はパルス波長を調整するいわゆる発振機なのでモーター等のノイズ対策を万全にするよう書いてある。私の使ったのは格安(数百円)PWMなので高調波雑音が出てETCの通信不能を引き起こしたのではないかと考えた。今思ってみると最初に通信不能になった時はスキーに行く為朝早かったのでヒーターを入れていたかも知れない。無事通過できた時は過ごしやすい時期や時間帯だったのでヒーターのスイッチは切っていたのかも知れない。
シームレスの風量調整はスムーズで良いのだが運転中の操作にはクリック感は必要ということを感じていた。年金生活者にはレジスターの高額支出は痛手なのだが、色々模索していたら純正で未使用のレジスターがブロワモーターについていた事を思い出した、それも2個もあった事を思い出した。これで費用をかけずに4段調整でPWMからレジスターに戻せる目処が立ったので某日実施した。やはりシンプルイズベスト。ランドローバーの設計を信じよう。純正が一番。
- レンジの純正機能や部品は最大限利用するのが信条
- 純正のハーネス、装置は原価をケチってはいないはず(?)
- レンジには純正(?)で未利用のブロワー用抵抗器(レジスタ)がある
- 壊れたモータのもあるので2個も家にあった
- 風量調節にはクリック感が大事
- 折角考案した4段階の風量調整は大事
- 結局リレー1個の追加で風量調整が4段階になった
300Tdiレンジの真空引き
クーラーからエアコンシステムに変更する作業は2年前に終了して、昨(’22)年は更にフレア接続が不安だったので無くすよう加工したのだが、実は冷媒はまだ入れていなかった。真空引き用のポンプやマニホールドゲージセット、それにHFC134aガスやオイルは随分前に購入してあったのだが何せ真空引きなる作業は生まれて初めての事、ポンプから煙が出たりしながら、何度試みても本に書いてあるような真空状態を保つことができずに躊躇していたのだった。
また今年も暑い季節が近づいてきたので重い腰を上げて電装屋さんに診てもらいに行ったら一瞬で室内から大々的に漏れているとの指摘を受け自宅へ舞い戻った。
ヒーターユニットを外すのは誠に億劫な作業で、フレア接続を無くしたのも室内側のパイプは2度と触りたくないと言う理由で確実に接続したつもりなのだが、あろう事か再々再度外すことを余儀なくされた。ユニットを外してよくよくパイプを観察すると指摘の通りエバポと自作した延長パイプとの接続部分がしっかりと締め込んでいないように見える。
エバポ側の高圧と低圧の出口は出ている長さが違うのだが、エバポから延長したパイプを外してみると、エバポ側の長短の差と延長パイプ側の高圧と低圧パイプの長短の差が合致しない。硬いパイプ同士ではここに差があってはどちらかがしっかりと奥まで締め込みできないわけだ。つまり、エアーが漏れていたのはアルミ溶接部分からの漏れではなく、単純にワンオフ自作の延長パイプの長さの計算間違い、長さを測ってR12用のネジ込み部とR134a用のねじ込み部分の溶接をお願いした自分の責任であった。平身低頭電装屋さんに再度頼み込んで高圧側のパイプを短く切って溶接してもらった。2千円の追加料金で済んだ。ありがたい。
パワステボックス
あちこちスキーにも行って快適に走っていた300Tdiレンジだがある時突然、車庫の床に赤い液体がべっとり。パワステフルードが漏れ出したのだ。パワステボックスは元元のレンジについていた物なので走行距離にすればたかだか8万キロ程度。ただ、レンジのパワステは据え切りを重ねると途端に悪くなるらしいので使い方を誤ったか、それとも30年の経年劣化と冬の寒さでゴムが硬くなりヤラれたか。尋常な量ではないので直ぐに対処しなければならない。こういう時のためにディスコのパーツがあるのだが残念なことについ先日BOXが調子悪いという友人に譲ってやったばかりだ。友人の悪い方のBOXを貰い受けてオーバーホールをする事も考えながら慌てて電話して譲った物の安否を尋ねると、悪かったはずのBOXは自然治癒したので未交換のままとの事。ボールジョイントが固着して先端だけ付いたままのディスコのBOXを頼み込んで返却してもらった上でなんとか交換完了。
その後、漏れている方のBOXをオーバーホールして予備に回す事にしたが案の定ドロップアームを外すのに苦労した。10数年前に200Tdiレンジの物をOHした時はストレートの店長に頼んでダブルハンマーの技で外してもらったのだが今回は結局SSTを購入して外した。ただBOX側のアウトプットシャフトが長過ぎてSSTが入らなかったのでグラインダーで切り詰めた上で取り外した。
さらば200Tdi
300Tdiレンジがほぼ理想の形で出来上がったので次なる課題は休眠中の純正200Tdiレンジのレストア。
だが、考えてみると自分はまもなく古希、終活を考えなければいけない年齢だ。それに300Tdiでの全国行脚の夢もあるし未知の整備が発生するかも知れない。UAZ顔サンバーやNAロドスタも年老いて行くばかりで益々手がかかるようになるだろう。課題をこなす余裕はないのだ。
Tdiレンジ2台持ち(93年型KA,Aegean,AT:MT,200:300Tdi)の構想は諦めて熱意ある若者に夢を託すことにした。

10万キロ超を母国で過ごした後、日本で20万キロ余りを走り抜いた200Tdiレンジ。15年ほどを特別豪雪地帯で過ごしてから休眠に入って早や7年。よくよく見るとフレーム後端はさらにサビ落ちてボロボロだ。ドナーのディスコのフレーム後端を自分で切り貼りして強度を保つつもりだったがモチベーションが続かず力尽きたのだ。エキスパートの手によってレストアが完了し、いつの日にか再び一緒に並ぶことができるのだろうか。


朝霧のまち
秋も深まり公園の落ち葉が我が家に吹き寄せるようになった。

この時期、天気が良いと朝霧(盆地霧)が10時過ぎまで地表を覆っているので家からは空が見えない。20分ほどのドライブで山上の展望台まで。




エアコンシステム再挑戦
エンジンルーム側はディスコの純正品を使用し、室内側はレンジ純正と思しきエバポとエキパンを使うように工夫したKA300Tdiレンジのエアコンシステム。自分で真空引きをしていざ冷媒を注入と意気込んだところ一瞬で大気圧に戻る。つまりパイプの接続部かどこかで空気が漏れて真空が保たれないのだ。ミリ規格とインチ規格(R12とR134a)の違いをフレア加工や算盤玉接続で誤魔化そうとしたのが悪かったか。夏以外はエアコンなんて滅多に使わないので放って置いてもよいのだが、せっかく拘って作り上げたシステム。内装のウッドをムク板張りにしてフェイシアを外したついでに見直してみることにした。エバポやフロントデッキ、ヒーターアッシーを外して再挑戦した。
夏休みの工作
ロッカーアームのキャップが外れてタペット音が出たり、パワステポンプのパイプが緩んで重ステになったりしたが、総じてKA(93年型)300Tdiレンジは調子がよい。
世の学生諸君はようやく夏休みに入ったようだが、年金生活者は毎日が夏休みのようなもの。今年は早くから暑かったので夏休みの工作に着手、でも一番大きな作業であるフェイシア周りがまだ残っている。果たして夏休みが終わるまでに完了するか?