ターボチャージャー

 ある時からATのギアアップがギクシャクするようになった。1〜2速、3速へなかなか切り替わらずアクセルを踏んでタコメーターが3千くらいまで上がってガクンと言って漸く3速になる感じになった。原付カブの遠心クラッチのような感じと言えばわかるだろうか。3〜4、4速のロックアップは普通に出来る。ただ全般にタコメーターの回転が高くなったような気がする。

 平地では何とかなるのだが登り坂では特に顕著だ。何だろう。ATのギヤかクラッチが欠けたか、それともターボが壊れてパワーが出なくなったか。AT機構は複雑怪奇だしギヤユニットやトランスファーを降ろすのは年齢からして躊躇する。ただ200Tdiレンジのターボが壊れた時は急に黒煙を噴いてパワーが無くなり坂道は登れなくなった記憶がある。あの時は併せてヘッドのOHもしてしまったのでひょっとしたらターボでは無かったのかもしれないが。思えばレンジの整備の泥沼にはまったきっかけでもあった。今回は黒煙や白煙こそ出ないがパワーがなくなったのは確かだ。

 300Tdiターボの故障を疑って情報を集めるがなかなか出てこない。あまり壊れるものではないのだろうか。でもATの不具合で無い事を願ってディフェンダー用のギャレット純正のターボを見つけて購入してみた。ネットの情報では社外品だがタービンだけでも入手可能でかつ格安なようだがここは純正にこだわって見よう。レンジやディスコのパーツリストではアッセンブリーでしかナンバーが付いていない。エキマニもアッセンに含まれているようでパーツナンバーが付いていないのだがディフェンダーでは鋳物のエキマニは別売りのようで、購入した物にはエキマニが付いておらず固着したエキマニを外して再利用するのに難儀した。

 マフラーのダウンパイプを取り付ける段階になって吊りゴムが割れている事に気が付き、余分な作業が増えたがやっとこさで取り付けてテスト走行。平地や下り坂ではスムーズで以前より調子良くなった感じだが登り坂になるとやっぱり遠心クラッチの感じは変わらない。

社外品の吊りゴムはエンジン載せ替えの際に新調したので3年程しか経っていないのだがボロボロ

 「やっぱりAT降ろして重整備か〜」と考えてよくよくボンネットを覗いてみたらキックダウンケーブルがユルユルであった。実はキックダウンケーブル取付ユニットにオートクルーズケーブルを兼用出来るよう工作しているのだが、最近溶接なる物ができるようになったのでねじ止めを溶接加工したのだった。併せてこれも自分で工夫した電子式スロットルの円滑化を進めるためスロットルロッドに触ってそのままにしていたのだった。

アクセルワイヤーもキックアップケーブルもゆるゆる
アクセルペダルと電子スロットルを繋げているリンクロッドも緩めたままだった

 単純にその際の調整不足だったのだ。大事な作業を忘れるなんて認知症の始まりだろうか。と言うことでターボチャージャーの更新(必要だった?)だけで済んだというお話。やはり点検・調整は大事というブログネタでした。

300Tdiレンジその後

 よく躾された馬は乗馬の際「ご主人様どうぞお乗りください」と膝を折って乗り易くしてくれるそうだ。砂漠を行く隊商のラクダも同様に躾られているらしい。’93年型以降のCRR(Classic Range Rover)のエアサス車は正にこのニーリング機能を持っていたのだが、悲しいかなCRRの場合は時期尚早だったのかよく故障するとの事でエアサスを元のコイルサスに戻すのが流行ったのはご存じのとおり。

 近頃は某獨逸製高級偽軍用車を筆頭にオートステップなる物が流行っているらしい。収納時は最低地上高が変わらずドアを開けると自動的に踏み台が出てくる感じになるアレである。また、医療福祉系車両を中心にスライドドア連動のオートステップも結構出回っているようだ。

 足が上がらなくなって平らな道でもコケる事があるのに幾ら長い足が自慢(?)とは言えレンジに乗り込む時40センチ近く脚を上げるのは堪えるようになった。ここ数ヶ月は親戚を月1ペースで医院に送迎する用事が入ったので毎回折り畳み式の踏み台を広げてレンジのリアドアを開けてやる事が増えた。年に数回だが98歳を超えた母を乗せる場合は併せてお尻を持ち上げてやらねばならない。簡易踏台は必須になったのだ。

 というわけでたまたま中古格安オートステップが◯◯オクに出ているのを見つけたので改良して300Tdiレンジにつけてみる事に挑戦。尊敬するCRR教祖の石川さんの考えや軽量化を目指す方向とは逆行するが古希を過ぎて弱って来た体には逆らえない。鉄板の角を削って少しでも軽量化を図ることとする。ひと月ほどかかってやっとで完成した。

持病の治療

 50年近く前、職場の独身寮で貰ってしまった水虫。大事に持ち続けて足の爪に入っていたが、最近になってようやく治療に入り出した。こちらは半年かかって完治に向かっているが、30年以上経過したCRR(Classic Range Rover)はあちこち持病が出だした。

 200Tdiレンジの時にもたびたび手を焼いたトリップメーターのリセットボタン。どうかするとスパッと0にリセット出来るのだが、何回やっても中途半端な数字になっている事が多い。それでも10kmの桁、100kmの桁で上手く繰り上がってくれれば良いのだが、とうとう繰り上がらなくなって340のままで動かなくなり、高速道路を走っていて規則的なカチャカチャ音が気になり出した。いよいよ本腰を上げて修理する事にした。と言ってもただスピードメーターを取り出して精密ドライバーを差し込んで000にするだけ。

 パワーウインドECUの不調:パワーウインドーの不良はハンダが浮いて電気が通ったり通らなかったりが原因らしい。ま、30年以上使い続けていると日本車であろうと何処かしら悪くなってくるはずなので持病とは言えないかも知れない。ただ日本車の場合は30年以上も使い続けるのは珍しいし、悪くなった場合はアッシーで交換してしまうのでいわゆる持病とはされないのかも。

 300Tdiレンジのリアウインドスイッチは半年程前から時々しか機能しなくなった。雨が続いた後や寒かった日にはどうかすると動くのだが下手すると雨が降っても下がったままで走り続けることになる。左右とも揃って動かなくなるので後部窓への電源供給リレーの不調には間違いないのだが、93年型はフロントウインドガラスのワンタッチダウン機能がついた関係でいわゆるECUボックスの中にリレーが入っている。要はBOXの中のリレーのハンダが割れているはずなのだ。

 後ろの窓ガラスは締め切ったままでも特に問題はないが、折角ある機能は使い切るのが信条。冬の間の暇つぶしに修理することにした。ただ、構想を練っているうちに今度は助手席横のガラスが下がらなくなった。こちらは以前からゆっくりとしか上がらなかったのでグリス切れが原因で負荷がかかり過ぎてモーターかレギュレータのローラーが壊れたようだ。併せて修理に向かう。

マフラー交換

 夏に下に潜って見た時に気がついたマフラーの穴。針穴程度に見えたが、臨時収入が残っていたのでオーソリティにディーゼルレンジ用のステンレス製を探してもらった。純正マフラーは斜め横出し式らしいが、英国中探してもステン製は見当たらないとの事。ディスコ用でも支障はないので難ありの傷物新品を割安で購入していた。冬にスチールマフラーのままで走ると塩カルでひどい事になるので、チラチラ雪の舞い始めたこの時期に意を決して交換する事にした。

 自分では3年余りしか使っていないが元々は’98年型ディスコの物なので、これまで無交換とすると通算25年以上、距離にしてみれば18万キロ超。穴が空いてしまうのも無理はない。

 ワンピース物なのでコイルスプリングをリアアクスルから外して取り出そうと画策していたが取り付けブラケットを外した途端に錆穴がある所から自然に折れて落ちてしまった。思ったより穴は深く全体に回っていたようだ。購入した新品のステンの方は2ピース物なのでコイルは外さなくてもよかった。

相棒

 長い間DIYにこだわってきたが、溶接はこれまで何度か挑戦したもののとても難しくて満足のいく出来にはならず半分諦めかけていた。それでもいつかは再挑戦と思って、離れの部屋にエアコンを設置した時に電気工事店に頼んで車庫まで単相200Vのコンセントは引いていた。

 秋のLRM(Land Rover Meeting)に参加した際、大御所に教えて貰った新製品の溶接機。Buddy(相棒)というらしい。調べてみるとセール期間中とのことで年金生活者でも手の届く値段だった。200Vと100Vを自動で切り替えてくれる優れ物の方も同じ値段だったので購入してみた。後で知ったが色違いでカーキ色や迷彩柄も選べたらしい、ちょっと残念なことをした。

 何か試用できる物がないかと探したら40年以上前のオーディオラックでコの字型の鉄の角パイプを見つけた。鉄材屋さんで追加の3㎝角パイプとLアングルetcを購入して切った貼ったで溶接台を作ってみた。ようやく自分でも使えそうな相棒に出会えた。

錫杖岳

 若いころ何度も岩登りに通った錫杖岳。正確には錫杖岳烏帽子岩前衛壁という事で山頂へは行ったことが無かった。

 昔の写真や文章を引っ張り出して思い出を綴るだけのことはしたく無いので、ある程度の実践を踏まえて思い出を語ろうなどと考えたのが甘かった。山頂は遠かった。というか難しかった。ヘロヘロでやっとこさで登って帰ってきた。

最近の岩登りはボルトなどは取り去るのが主流らしいが50年以上前のまま残っていた

 前日まで連日、山小屋の取り壊しや稲刈りの手伝いをして疲れが取れていないと言うのはただの言い訳。原因は運動不足、練習不足経験値の喪失なのだ。関西方面のプロのガイドさんの力を借りて這々の態で降りてきた。バリエーションルートなのでコースタイムの設定はないが通常より2時間ほどは余分にかかっていると思われる。

 今回、一番みてみたかったのは岩小屋。通算でこれまで何泊したのだろう。錫杖の岩登りは基本は日帰りだったのだが土曜発の1泊登山もあった。雨に降られて沈殿していた時、先輩に教えてもらった人工登攀のコツ。50年以上も前のボルトが残っているか興味津々だった。先輩たちが海外遠征している時の合宿や冬季第2登をするときのベースにも使った。思い出の岩小屋なのだ。

増車(?)

 今年の夏の工作。暑過ぎて何もしたくなかったので地下の書斎に籠って作業に勤しんだ。孫の遊び用にと買ってあった1/24のプラモを作ってみたのだがチャチ過ぎるので自分のコレクションにすることにした。涼しくなって地上に出てようやく日の目を見た。

ヒーターバイパス装置を付ける

 エアコンは安定して機能するし暇も出来たので暑くても出かけるようになった。冷風は爽やかに出て来るので快適なのだが時折どこからかドカッと熱の塊がやって来るようになった。窓際かバルクヘッド辺りの感じである。窓は閉まっているのに外気の熱が室内に入り込むような感じだ。助手席に乗る妻は特に暑さは感じないそうだ。手であちこち探ってみても特に熱い所は無いがハンドル下や窓ガラスを熱の塊が移動している感じでジワーッと暑いのだ。

 CRRは常時ヒーターコアに熱くなったクーラントが循環している構造である。このレンジを入手した時はヒーターコアが割れていたので、誰かがエンジン後端部で水道管でバイパスさせていたのは前にどこかで話した気がする。あの時、車内への温水切り替え装置があれば夏にエアコン無しでも涼しいかもと考えて格安汎用小型水路切替器は買ってあった。ただ300Tdiエンジンを載せたら、エンジンとバルクヘッドの間が狭過ぎてスペースを探せずにいたし車検取得以後夏にはあまり運転する機会がなかったので後回しにしていたのだった。

 CRRのヒーターユニットはコンパクトで気に入っているのだが何しろ設計が古い。エアコンなど無いヒーターオンリーの時代の賜物なのだ。ソフトダッシュと呼ばれる後期型のCRRのユニットをバラしたことがあるが全体を覆っている樹脂が厚くて熱は外部には漏れにくい構造だった。KA(93年型)までのハードダッシュのユニットの側壁は熱伝導率が高い鉄板だし樹脂は後期型に比べて限りなく薄い。暖房のことしか考えていない時代の設計なのである。

 LEDライトや暗くなると自動的に点灯するオートライト、USBやBluetooth対応のオーディオetcのCRRに欠けている数少ない弱点を自身の創意工夫で改良して快適に走れるようにする。それも最初から付いていたように限りなく純正風でさらに経費をかけずに手間をかける。この楽しみこそが私がCRRをいじり続ける理由でもある。

 今夏は早くから遅くまでとりわけて暑く、エアコンも調子がいいのであちこち運転していたら上記のとおりヒーターバイパスの必要性を感じたので意を決して作業にかかってみた。果たして効果の程は?

PWM かレジスターか?SDGs

 CRRの風量調整用の抵抗器(レジスター)は高価なのによく壊れるらしい。Tdiレンジもガソリンエンジンだった頃から、2段階しか調整できなかったので格安PWM(Pulse Width Modulation)にしてシームレスで風量調整をして快調に走っていた。エアコンも今年(’23)になって冷媒を入れたのでPWMを追加して風量調整しながら快適に遠出を楽しめるようになった。

 ところが夏になって東京に向かうべくエアコンを入れて久しぶりにETCを通る時、ゲートが上がらず急停止したら危うく後続車に追突されそうになった。係員が飛んできて言うには通信不能とのこと。首都高のETCでもゲートが上がらず一般ゲートで通った。振り返ってみると冬にスキーに行く時のETC通過時、通信エラーが出て無理矢理ゲートを通った事があった。あの時は帰りのバーはスムーズに開いたので、朝は大型トラックのすぐ後ろについていたので電波が遮断されたのだと考えていた。そのあと春まで数回ETCゲートを通ったが問題はなかった。

 電子工作の解説書にはPWM装置はパルス波長を調整するいわゆる発振機なのでモーター等のノイズ対策を万全にするよう書いてある。私の使ったのは格安(数百円)PWMなので高周波雑音が出てETCの通信不能を引き起こしたのではないかと考えた。今思ってみると最初に通信不能になった時はスキーに行く為朝早かったのでヒーターを入れていたかも知れない。無事通過できた時は過ごしやすい時期や時間帯だったのでヒーターのスイッチは切っていたのかも知れない。

 シームレスの風量調整はスムーズで良いのだが運転中の操作にはクリック感は必要ということを感じていた。年金生活者にはレジスターの高額支出は痛手なのだが、色々模索していたら純正で未使用のレジスターがブロワモーターについていた事を思い出した、それも2個もあった事を思い出した。これで費用をかけずに4段調整でPWMからレジスターに戻せる目処が立ったので某日実施した。やはりシンプルイズベスト。ランドローバーの設計を信じよう。純正が一番。

  1. レンジの純正機能や部品は最大限利用するのが信条
  2. 純正のハーネス、装置は原価をケチってはいないはず(?)
  3. レンジには純正(?)で未利用のブロワー用抵抗器(レジスタ)がある
  4. 壊れたモータのもあるので2個も家にあった
  5. 風量調節にはクリック感が大事
  6. 折角考案した4段階の風量調整は大事
  7. 結局リレー1個の追加で風量調整が4段階になった