夢のまた夢だった300Tdiエンジンを載せたKA(93年型)レンジローバー。足かけ3年かかったけれどなんとか公道走行できるまでに漕ぎつけた。
ミッション装着(失敗談)&各種工作
いったい何度エンジンとATミッションの分離・合体をしたのだろう。
無知の素人ならではの失敗ばかりをまとめてみた。
失敗ばかりではない、
300Tdi搭載に当たってこれまでにやった工作をまとめてみた
コロナ禍で巣(車庫)ごもり工作
そして、レンジの室内の工作
純正のエアコンブロワーが2個、追加の軸流型ブロワーの計3個の風量調整をどうするか。できるならこれまでの状態を維持してコントロールしたい。ネットでモーターのスピードコントローラーを探していたら1個800円もする汎用品が見つかった。試しに入手して繋いでみると結構調子が良い。色々調べると最近流行のPWM(Pulse Width Modulation)という方式でコントロールをしているとの事。レンジのエアコンの風はレジスターコントロールつまり抵抗器で電圧を落としてスピードをコントロールしている。このレジスターは高価だがよく壊れるらしい。30年も経った純正のレジスターに見切りをつけて純正風で最新式のコントロールを試みる。
レトロフィット
エアコン化と同時に冷媒をR12からR134aにする事にした。
一番簡単にディスコや後期型レンジのエアコンユニットをそのまま前期型レンジに移植できないかと散々検討したが結局無理なことがわかった。
違和感なく前期型レンジに300Tdiのジーゼルエンジンを載せて、かつエアコン化するにはどうしたらいいか随分と悩んだ。ディスコの純正のコンプレッサーには変な憧れがあって、いかにも純血・純正と言いたげにエンジンカバー(インシュレーター)とお揃いのカバーが付くのだ。何とかしてしてこれをレンジに付けたい。そしてどのように冷媒のパイプを這わせるか試行錯誤を繰り返した。
結果的にはエバポレーターだけがレンジの物で後はエンジンルームから室内のエバポ前まで全部をディスコと部品取車のパーツを利用してアルミパイプ主体のR134a冷媒の前期型レンジのエアコンが出来上がった。(ちゃんと冷えるかどうかは別問題)
KA(93年型)レンジに300Tdiを!
ジーゼルレンジ(クラシック)に拘ってようやくエンジンが載った。
95年型(MA)には純正で300Tdiエンジンが載っているけれど、前期型(〜93)で300Tdiエンジンのレンジローバーは存在しない。
思いがけずEDC(Electronic Diesel Control)エンジンのディスコが入手できたのでオリジナルでワンオフのレンジローバーに挑戦してみた。バックヤードビルダーなるものを真似て、ようやく目処が立った(2年近くかかったけど)。
300Tdiエンジンはドライブバイワイヤーとかで飛行機並みのシステムと謳っているそうだが30年近く前の設計思想は現代では機能するだろうか。
ヘッドライトウオッシャー

レンジのヘッドライトウオッシャーの水漏れは定番のようだ。左右に分岐するTピースのワンウエイ機能が働かなくなって噴射口から 漏れるらしい。そのせいなのかガソリンレンジはヘッドライトウオッシャーへ行くホースをタイヤハウスの上あたりで切断してM10のボルトを差し込んで封をしてある。さらにバンパーにある噴射口のシャワーヘッド も取り外してある。Tピースからエアーを吹いて掃除しようとしたらドボドボっと水が出てきた、塞ごうとして誤って壊してしまったのだろうか。どこかの業者の仕業だろうか。

どうもガソリンレンジの前の持ち主は雪のないところに住んでいた方とみえる。暖かい地方に住む人々にとってはヘッドライトウオッシャーなど無用の長物なのだろう。でも積雪寒冷地に住む者にとってはヘッドライトウオッシャーは有用な機能で、冬季には先行車の巻き上げた泥や雪がウインドガラスやヘッドライトに付いてすぐに視界が悪くなる。夜間にウインドウが見えなくなりライトが暗くなったのを解消するのに結構重宝するのだ。

同様に最近流行りのLEDヘッドライトは熱を持たないのでライトに積もった雪が解けずに夜間の雪道走行に不安があるとの問題提起も出ている。LEDの道路信号も吹雪いた翌朝には雪で隠れて見えなくなる。雪国は大変なのである。
せっかくある機能は生かしてあげたい。
メッキバンパーを外してさらに樹脂製のスポイラー(スカート)を外そうとしたらバンパーに溶接してある固定用のボルト4本のうち3本も折れてしまった。
数年前に買った格安半自動溶接機は使いこなす事ができず、不要になったバッテリーを充電して直列につないで溶接に挑戦して見た。まるまる1日かけて何度も挑戦したら何とかボルトが溶接でき(ボコボコだけれど)スカートの重さに耐えられるだけの強度は出た(と思いたい)。

ヒーターコア(CRR)
’18年の年末になって驚愕の情報が連続して入って来た。2ドアレンジのヒーターが湯気を吹いている映像に驚いて動悸が収まらない間に別の情報でレンジのヒーターマトリックスはよくパンクすると言う情報が入って来たのだ。2番目の情報は救急措置の方法付きだったが、その方法が先日エンジンを降ろしたガソリンレンジのヒーター配管そのものだったのだ。
どうしよう。ガソリンレンジのヒーターコアがパンクしているかもしれない。ええい、ヒーターコアもエバポレーターも後期型レンジの物をバラして使う事にしようか。いわゆる完全レトロフィットだ。まさに金をかけずに手間をかける。プライベーターの極み。とは言え不安を抱えながら新年を迎えることとなった。
エアコン化に向けてヒーターユニットを取り外した際に見てみたら不安は的中。ピンポーンであった。冷却水の出入り口は樹脂製でこの部分にヒビが入っている。ひび割れを薄いマイナスドライバーで触っていたらポコっと割れてしまった。これでは持病になる訳だ。さあてどうしたものか。
ということでヒーターマトリックスを手持ちの材料と少しばかりの材料でオールアルミ化を図ったうえでかねてからの夢であったエアコン化に取り掛かる事にした。
結局、エバポレーターはサイズの関係でCRR用を再利用することとし、ヒーターコアのオールアルミ化は強度(力量)不足で一旦断念。一番信頼できる輸入部品販売元からコアを入手して組み上げた。
足回り塗装他
レンジの足回り。1週間ほどかかってやっとで終了。
シャシブラックを塗ってブッシュを交換。
取り外しが力仕事で、結構疲れました。



サイドミラー
マニュアルに載っている91年型(HA)レンジの回路図を見るとサイドミラーのモーターは1個でそれにソレノイドを繋いで上下左右を動かしているようだ。ところがジャンク品の93年型(KA)ミラーを分解してみるとモーターを2個使っている。93年型のモーター部分は汎用品となったようでネットに出ているカングーやBMWなどの物と同じ形状に見える。これがシートメモリーECUと連動して機能しているようだが、ECUが壊れるとあらぬ方向を写し出すので私は単純にメモリー機能を外す事にした。
青白2個のコネクタで計10本の線が使ってあるので手間取ったが、既存のハーネスを使うとすると、ここからモーター直結の4本の線を探し出して、シート下のメモリー用コネクタへ行く配線につなぎ、さらに戻ってコントローラーへ繋げばよいのだ。
コントローラーの内部構造が不明で、さらにネットで検索できる日本車や外車のミラーの回路図とも繋ぎ方が違っている。えいママよ、試行錯誤で繋いでみたら何とかコントローラーで上下左右動かせる回路が見つかった。
あとはこれを左右切替えスイッチで切り替える回路である。
多くの方がメモリーECUの故障には悩まされているらしく、信頼できる消息筋の情報では、ミラーの場合はリレーを4個も噛ましているとのこと。赤貧の年金生活者の身ではリレーを4個も購入する余裕がないし、シートのものと比べてミラーのモーターはいかにも小さいのでリレーは省略できるかとも思った。しかしリレーは既存のハーネスを使うとコントローラーの作動で左右両方のミラーが同時に動いてしまうので、これを防ぐためのものであった。
ネットで小型の格安パワーリレー、1個で4極切替可能なるものを見つけて、さらに割引デーに買い込んだ。パナソニック製で税抜で250円もした。純正の左右切替スイッチは1極物なので、2極もので1極をリレーの入切にしようと汎用品を探したら、純正品と同サイズで送料込みで103円という物があった。これを使ってリレーを動かすことにした。

パーツ棚をひっくり返してECUのオス側24ピンコネクタと同じ物を探し出し、メス側と直結する事にした。オス側を1本1本外してテストを行なったが接続は再度嵌め込んでこれを使うことにした。
ようやくにして93年型電動シートのメモリなしドアミラー回路が完成した。コネクタやプラグと電線は溜め込んだ部品取車の物を外して流用。リレーとスイッチの支出だけで済んだ。
汎用型電動ミラーはモーター部分のみでも入手可能らしいので、今後万一電動ミラーが壊れてもアッシー交換でなくパーツのみの出費で済むかもしれない。
とりあえず電動シートは生き残り、メモリーECUの900グラム分を軽量化できた。
電動シート
私の元々の本国仕様の200Tdiジーゼルレンジはグレードをヴォーグと謳いながらも布製のシートで、その角度調整はノブで、前後移動はレバーを持ち上げて手動で行う仕様である。一方日本仕様やSE仕様のレンジは電動(パワー)の革シートで、それもコノリー皮とかいう高級な皮らしい。93年型はメモリー機能が付いてドライバーが代わってもボタン一つで元の自分の位置に設定し直してくれる。おまけにドアミラーの位置までちゃんと登録したドライバーの設定に戻してくれるのである。
でも優れ物とは名ばかりで20年以上の時を経て皮はカチカチになってひび割れが出ているし、メモリーの内蔵電池が液漏れで壊れてしまいおかしな位置でセットしたり限界まで動いて止まったままになったりするらしい。私もKAガソリンレンジを車庫まで移動する間にシートが勝手にどんどん前に動いてしまい電気椅子の被告さながら潰されかかった(一番前で止まったが)。
軽量化と長期安定利用、それに乗り心地の面から手動で布のシートが一番ではないだろうか。
ま、200Tdiの布シートは若干ほつれ出しているのでとりあえずは電動シートを使うとしよう。
シートメモリーECUの箱は運転席裏に取り付けてある。一度外した事があれば席下へ手を入れて外せるが、初めての場合はシートを取り外さなければ理屈がわからない。ところがシートを外す際、固定してあるボルトがナメた。M8ボルトで5ミリのヘックス頭であるが2本もナメた。結局6角頭のM8ボルトを溶接してボックスレンチでようやくシートは外れた。
ECUボックスにはパソコンと同じように封印を破ったら保証対象外などと書いてあるが、何を今更。あちこちのブログやホームページに書いてある通り中身は案の定メモリー用の内蔵バッテリーが液漏れしてた。液漏れしたバッテリを外すとECUが生き返った例があるらしいが、残念ながら私の物はバッテリーを外してから試しに12ボルトを流して見てもシートは復活しなかった。
運転席のリモコンスイッチを助手席のものと比べると電線がいかにも細い。別途リレーを噛ました方が良さそうだがそれぞれダブルで結線してあるのでとりあえず直結でやってみよう。
信頼できるホームページの情報を参考にしながら自分なりの手法を模索する。
24プラス4本で27本もあるコネクタの車体側の配線を利用して、シートモーターの4個、サイドミラーの上下左右のモーターとコントローラーを直結すれば良いのだ。
そうすればシートメモリーのECUボックスアッシーを外せて軽量化できる